家電量販店で、アルバイトの大学生が店長に・・・というニュースを見た。
大学は、学問をするために通うところだと思う。
けれど、店長を務めることになれば、きっとその学問を犠牲にすることになるだろう。
いや、そもそもこの根底には、
「大学は学問をする場所ではなく、就職するための資格を得る場所」
という考え方があるのかもしれない。
もちろん、学ぶ気のない大学生はたくさんいる。
学生時代にアルバイトをしていたところに、そのまま就職する例だってある。
だからといって、企業側の大人が大学生に「ちゃんと学問を修めなさい」
という正論を言えないのは、ちょっと違うんじゃないかと思う。
他方、どんな職場でも、社員である社会人より学生アルバイトの方が優秀だな、
と感じることはある。人としての振る舞い、気遣い、挨拶。
そういった面では、必ずしも社会人の方がしっかりしているとは言えない。
結局のところ、どんな風に育ってきたか、どんな風に育てられてきたか。
そこが大きな差になるのだと思う。
また、学歴に必ずしも依らないが、学習経験の有無が差になることもある。
複数のことを同時にこなさなければならない場面や、負荷がかかった場面で、
思考停止せずに優先順位をつけて処理できるか。
そういう力は、勉強をしてきた経験とも無関係ではないと思う。
だから、優秀な大学生がいること自体は、何も不思議ではない。
しかしである。
優秀な学生がいるとはいえ、いきなり「店長」という立場を任せることが、
本当にその人のためになるのだろうか。
先輩や上司の下について、仕事を覚える。
誰かの下についた経験が、将来自分が上に立ったときに活きることもあるだろう。
その店の「長」であることがプレッシャーになるかもしれない。
「店長なんだから」と、過度な責任や労働を背負わされるかもしれない。
年上の社員を従わせようとして、変に威厳を持とうとする。
偉そうに振る舞わなければいけない、と勘違いする。
そんなことにならないだろうか。
もちろん、他社の経営に口を出すつもりはない。
ただ、若者の未来は、豊かなものであってほしいと思う。
見た目にはちょっと良く見える給与や肩書きを与えて、
まだ社会を十分に知らない若者を囲い込み、結果として潰してしまう。
もしそんなことになるのだとしたら心配になる。
……と、ここまで家電量販店の話をしてきた。
けれど、実は私が気になっているのは、別のところである。
同業他社の校舎長が、目に見えて若くなっていることだ。
先生になったばかりのとき、生徒の保護者は確実に年上である。
しかも、その保護者の方が社会人経験は豊富だ。
どう取り繕ったところで、赤子と大人くらいの差がある。
もちろん、若くても立派な先生はいくらでもいる。
だから、若くして校舎長になったことそのものを責めたいわけではない。
ただ、信頼を得ようとして、自分を偉そうに見せようとするとおかしくなる。
それよりも、自分の担当科目を一生懸命勉強する。生徒一人ひとりの変化に目を配る。
最初はそうやって自己研鑽に努める方が、ずっと大切なのではないかと思う。
そして、もう一つ気になる。今年、若い人を校舎長にする。
翌年も、その翌年も若い人を校舎長にする。それを繰り返していったとき、
今の若い校舎長たちは、近い将来、どんな立場に置かれるのだろう。
若いからダメだ、と言いたいのではない。
若いうちに責任ある仕事を任されること自体は、素晴らしいことだと思う。
ただ、それは「育てるための抜擢」なのかどうなのか。
『下積み』と言われるような経験や、そこにかかった時間が、
最近、軽視されすぎているように思う。
