形容詞の活用(表)をおぼえる際に
かろ・かっ・く・(う)・い・い・けれ
と暗誦した人は多いと思う。
形容詞は物事の性質や状態を表し、
言い切りの形にすると「い」で終わる言葉である。
例えば、「寒い」とか「明るい」とか、こういう言葉が形容詞であるが、
この形容詞に「ない」をつけると、「寒いない」とは言わずに、
「寒くない」というように、語尾の「い」が「く」に変化する。
この変化(活用)をおぼえるために、先の呪文のような言葉が使用される。
それで、「今日、寒くない?」という言葉の使い方は正しいのだが、
近頃、形容詞のみならず、動詞にまで「く」をつける日本語が横行している。
最もよく聞く言い回しは、「それ違くない?」である。
もちろん、この表現は間違いであるから、
入試の記述で書いたりしたら減点されるのだが、
あまりに日常に浸透しているので、
子どもたちは間違った日本語として認識していない。
それにしても、最近の「く」のはびこり方は尋常ではない。
当然のような顔をして、どこにでも「く」が出没してくる。
「ワンチャンあるくない?」
(犬が歩いているのか、歩いてないのか、どっちよ!)
「まだ着れるくない?」
(「く」が入って、「ら」は抜かれて、マジカルバナナ!!!)
さらには、「ない」が「ね」に変わって、「くね」「くね」の乱発がひどい。
「今日、寒くね?」はわかる。
でも、「あるくね?」は・・・
どうぞご自由にお歩きください!としか言えない。
あっちもこっちもくねくねしていて、だいぶ気持ちが悪いのだが、
正しい日本語ではないことを指摘すると、いよいよ「おじさん」扱いされる。
まぁ、いつかはこのくねくねした言葉も辞書に載って、
正しい日本語として認定されるのかもしれないが、「くね」を過剰に浴びていると、
どうしても「前髪クネ男」が脳裏をよぎるのだ。
とにかく、
「く」を動詞につけるのは10年早い!
「く」をつけるのは、形容詞だけで我慢しておいてほしい。
