中村憲剛氏

一昨日、スポルティーバに載った記事
「中村憲剛と佐藤寿人が断言。この2人の監督が日本サッカーを劇的に変えた」
の中で、中村さんが語った話が、興味深かった。

ちなみに、中村憲剛氏は、日本代表としても活躍していた元サッカー選手で、
普段は川崎フロンターレというチームに所属していた選手なのだが、
以下は、2012年にチームの監督になった風間八宏氏のことを語った場面である。

『風間さんに関して言えば、僕も新しい扉を開いてもらいました。
(中略)
たとえば、僕の止めて蹴るを見て「よく止まっているね」と言う人がいても、
風間さんの場合は「お前、止まってないじゃん」となる。
(中略)
基準をどこのレベルに求めるかがすごく大事なこと。
止まってないじゃんと言われたら、もっと止められるようにしようとする。
止められるようになれば、プレーがぐんと変わっていくんですよ。
(中略)
風間さんは「もっと正確に、もっと丁寧にやれば、サッカーはもっと速くなる」
と言うんです。初めは意味がわからないんですよ。
ガムシャラにやったほうが速くなると思うじゃないですか。
でも結局、正確にやることが一番速くなるってことに気づいていくんですよね。』

 

サッカーでは、ボールを「止める、蹴る」をどれだけ正確にできるかが重要だという。
サッカー素人からすれば、当たり前のことを言っているだけに聞こえてしまい、
みんな(子どもでさえ)止めて、蹴ってるんじゃないの?と思うけれど、
風間氏から見ると、なんとなく止めて、なんとなく蹴っている選手が目に付くのだろう。
あるいは、蹴る方ばかりに意識が向いて、止めることをおろそかにする選手、
止めている気になっているだけの選手が多いということだろう。
そしてそれは、日本人の中でも最高レベルのテクニックを持った中村選手でさえ、
そうだった(ボールを止められていなかった)というのだ。

 

風間氏が意図する「止める」のレベルは、僕のような素人にはわからない。
だが、基本的なことを、「もっと正確に、もっと丁寧に」やることが、
上達に必要な条件だと風間氏が言っているのはわかる。

高い技術を持った中村選手である。
いまさら「基本が出来ていない」などと言われて、
「そんなわけあるかい!?」と反論したくなっても不思議ではない。
しかし、そのアドバイスを素直に受け取り、基本のレベルを上げたからこその、
日本代表選手、レジェンド選手である。

 

何をやるにしても、同じなんだなと思う。
基本を大事にすること。基本のレベルを上げること。
アドバイスに対して、まず反発するような姿勢で聞くのではなく、取り入れること。
学ぶ姿勢、教わる姿勢、感謝の気持ち…
伸びる人とそうでない人の差がここからもわかる。