自信

5年生最後の授業中に、彼らの多くが志望している学校の入試問題を扱った。
答え合わせをした後、顔面蒼白とまではいかないが、
こんな問題、一年でできるようになるのだろうか?
と不安そうな、自信を失くしたような顔つきの子が多く見られた。

彼らの多くが志望する学校なのだから、もちろん人気の学校である。
人気のある学校ということは、倍率も高いわけで、
受かる人よりもそうでない人の方が多い。
1年間、受験勉強を積み重ねた子たちですら、楽に合格できるわけではない。
なのに、まだ受験勉強の「じゅ」の字もやっていないような子たちが、
そんな簡単に高得点を取れると思っているなら、それがそもそも大間違い。
だからこんな話をした。

「今、思ったより全然できなくて、自信を失くした顔をしている人がいるね。」
「でも、これからようやく受験勉強を始める君たちが、
まだ全然勉強の足りていない君たちが、自信をすでに持っていたとしたら、
それ自体がおかしくない?」
「自信を持っていたんだとしたら、それは過信か勘違いなんじゃない?
まだ自信を持つレベルではないでしょ。
だとしたら、自信を失くすって変じゃない?」
「今日は、現在地がわかっただけの話なんだよ。」
「自分は何ができて、何ができないのか。
わかっているつもりでわかっていないことがこんなにあるんだ、
ってことを知れただけで十分。ここがスタートラインだ。」

 

話し終わったときには、彼らの顔に生気が戻っている気がした。
少しは伝わっただろうか。
これから少々長い休みに入る。その休み期間中に、
頑張ってみよう!とそんな決心のできる子が1人でも2人でもいたら嬉しい。

 

少し明るくなった空気の中で授業を終えたそのとき、
一人の男の子が言った。

「俺、自信あるよ!」

 

ん~、話聞いてた???伝わった上での発言…なのかな?
教えるって何年やっていても難しい。