プレスクール(応用クラス)の話

プレスクールを始めて2ヶ月になる。
今期は、計算クラスと応用クラスの2クラスの授業を
土曜日の同時刻に設置しているので、
僕はどちらか片一方のことしか(その日は)把握できないが、
今日は、その片方、応用クラスについてお伝えしたい。

応用クラスは、ホームページや夏前の広告でお知らせしているように、
算数好きや、算数を得意とする子が
ただひたすら算数の問題を解くというクラスである。
ちょっと極端な言い方をするなら、僕らは何も教えない。
授業の開始と同時に、何も説明することなく問題を渡し、
参加している3年生がそれを解き、合っていれば〇をする。
ただ、それだけのクラスである。

問題のレベルは、決して低くない。
だから、1問も〇がつかない状態で帰ることもありえる。
「え?それで塾なの?」「何も教えてもらえないの?」
「何のために行くの?」と思われてしまう可能性もある。

だが、ここでいうところの「教えない」は、ただの放置という意味ではない。
「問1は、こういう図を描いて、こういう式を書いて解くんだよ!」
というようなヒントを与えたり、解き方の解説をしたりはしない
ということだと了解していただきたい。
しかし、だからといって、初めから(サーパスに来る前から)、
どんな問題でもスラスラ解いてしまうような突出した子だけを対象に、
応用クラスを設置しているわけでもない。
スラスラとは解けない問題、もしかしたら全く歯の立たない問題こそ、
面白がってほしいし、ワクワクしてほしいと願いながら、様子を見守っている。

応用クラスにおいては、かけ算やわり算ができることは求めてしまっているが、
それ以外の先取り知識は要らない。
問題文を読んで、手を動かして、あれこれ考えてくれたら、それでいい。
楽しんで取り組んで、面白がってくれたら、それだけで十分である。
何個〇がついたかとか、先週よりもできるようになっているかとか、
もしくは、これに参加したことで、後々公開模試の点数が上がるとか、
そういう目に見える成果を目的としてほしいわけではない。

少し話が飛躍するのだが、
生きていくには「読み・書き・そろばん」さえできればいい
というような言い方がある。もし、その通りだとすると、
応用問題なんてものは、やらなくたって、できなくたって生きていける。
生きていくためにやらなきゃいけないもの、どうしても必要なものなら、
多少、強制されてでもやった方がいいと思うけれど、
余計なものをやるのだったら、楽しんでやったらいいと思う。
イヤイヤやるものではないし、誰かに強制されてやらされるものでもない。
僕らも、正解する問題が少なくたって怒ったり叱ったりはしない。

その、およそ塾の授業っぽくないクラスに、みんなだいぶ慣れてきたように思う。
告知の段階で「応用」とうたっているので、算数を苦手に感じている子はいない。
だが、きっと初めて見るタイプの問題も多かったのではないだろうか。
9月の授業初日には、何をどうしていいかよくわからず、
時間だけが過ぎていくのを待っている子が何人もいた。

しかし、今は違う。
ホワイトボードに、手の動かし方のきっかけになるようなメモ書きを残すと、
その後「写して!」と言わなくても、自らそれを写して、それを手掛かりに考える。
色々と試すようになった。式も書くようになった。
〇がつくと、小さな声で「やった」って言ったり、小さくガッツポーズしていたり。
たった2ヶ月でも、随分とたのもしくなった。