子どもは賢い。

3年生の体験授業中に、
「なんでこんなに勉強しなきゃいけないんだ!」「やりたくねぇ!」
と、突然、本当に何の前触れもなく叫ばれたことがある。
教室では(他の生徒の)笑いが起こったが、
その発言をそのままにするわけにもいかないので、その子の隣に行って、
「そっか。やりたくないか。」「無理やり塾に連れてこられたの?」と聞くと、
「色んな塾の体験授業に無理やり連れていかれてる。」と言う。

「そりゃ、塾なんて行かずに遊びたいよな。」
「もしずっと遊んでていいなら、何して遊ぶの?」と聞くと、
「ゲームとかユーチューブとか。」と言うので、ちょっと飛躍して、
「将来は何になりたい?」って聞いてみた。すると
「ユーチューバー!」と即答された。

まさに今どきといった返答であるが、
「ユーチューバーになるのも大変なんだぞ!」なんてことを言う気はない。
だけど、もし勉強をやらなくても就ける職業がそれだと思ったのなら、
そういう考え方は良くないなと思う。

 

ところで、塾の授業に参加している最中に、
「やりたくねぇ!」と大声で言えるのは、なかなかすごいと思う。
心の中で思っている子は結構たくさんいるのかもしれないが、
思っているだけと、実際声に出すのには、大きな差がある。

時代性もあるが、昔と比べて、本当にそういうところは変わったと思う。
話している人の目を見て、話を聞きなさい!なんて注意は過去のものか。
先生の方を見向きもしない子、頬杖をついて授業を聞く子、
先生が話している最中でも、手で覆うことなくあくびをする子…

まぁ、こういうことを、いちいち指導していくと、ウザイと言われる時代であるし、
「そういう態度はよくない!」と叱ると、時には親御さんからクレームのくる時代だ。
だから……

 

って、そんなことは知らない。ダメなものはダメ。
その態度は、人からモノを教わる態度ではない。
やりたくないなら、参加しない自由があるけれど、
みんなが勉強しているどころで、自分の不満を表現するのは違う。
そもそも、その態度では、何もできるようにはならない。
「昭和か!」と言われようとも、そこは変えない。

 

さて、冒頭の子であるが、3年生が終わる頃には、とっても落ち着いた。
授業態度がとびきり良くなったとまでは言わないけれど、
軽口をたたくことはあっても、ちゃんとやるようになった。
そして、随分とできるようになった。

人によって、あるいは、日によって変わる、あいまいなルールではなく、
きちんとしたルールを伝えれば、子どもはちゃんとできるようになる。
子どもは賢いのだ。