1ポイントでも高い偏差値の学校に!と、希望する人がいる。
同様に、塾に入れば、1つでも上のクラスにいたい!となる人がいる。
そのように考える理由の1つには、
「学力レベルの高い友人」と一緒に過ごすことで、
良い刺激、良い影響を受けられるのではないか、というような思いがあるのだと思う。
あるいは逆に、集団の中で自分ができる(と感じる)方にいてしまうと、
それ以上の努力をしなくなったり、天狗になったりするのではないか、
という不安であるのかもしれない。
実際、自分の所属する集団のレベルが、今の自分のレベルよりも高くて、
そこに頑張ってついていこう!と一生懸命に取り組んでいたら、
いつしか自分のレベルが信じられないほど上がっていたというのは、
よくある話である。これを「ピア効果」というようだ。
だが、残念ながら、このピア効果には、
プラスの効果とマイナスの効果のどちらもがあるという。
すなわち、学力の高い集団に所属することによって、
(相対的に)自分の学力が低いと感じ、学習意欲が低下するということである。
タイプによって、どちらに振れてしまうかが変わってくるので、
よくよく子どものことを見ていないといけない。
余談だが、怖い(と子どもから恐れられている)お父さんやお母さんに、
「クラスは上の方がいいの?下の方がいいの?」と聞かれたら、
子どもはウソでも「上がいい」と答える。そういうものである。
ところで、小学生が志望校を決めていく時に、大人が何の導きもしなければ、
大学合格実績が良いからという理由で、学校を選んだりはしない。
楽しそうに見えたとか、やりたい部活があったとか、制服がかわいいとか、
そういう理由がほとんどだと思う。
大学合格実績を気にしているのは、ハッキリ、大人だけである。
だが、その実績の優れた学校に通わせさえすれば、
誰もがそういった大学に進学できるというわけではない。
そんなことは言われなくてもわかってる!と大人は言うだろうけれど、
大変失礼で申し訳ないが、きっとわかっていない。
今回のテーマは、そこではなくて、マイナスのピア効果である。
要するに、実績や偏差値で見れば、少々物足りない学校だとしても、
生徒に目が行き届いている学校なら、
難しくてもチャレンジしてみよう!と思えるかもしれないのに、
(表現は稚拙であるが)イケイケの進学校に通うことで、
むしろ自己肯定感を持てず、学習意欲が低下することもありえてしまうのである。
サーパスという名前の塾でありながら、
そして10年目に突入した節目の年に、上を目指すな!と言いたいわけではない。
学ぶということに関しては、変わることなく、上を目指して欲しいし、
成長して欲しいと願っている。
ただただ、手段と目的がごちゃまぜにならないように!という話である。