それぞれの塾のレジェンド

どんな塾にも(おそらく)伝説の卒業生がいる。
成績が良かったとか、受かった学校のレベルが高かったとか、
それだけでは伝説までには至らない。
いや、伝説になれるかどうかに、受かった学校はほとんど関係ない。
伝説になる生徒は、結果よりなにより、その過程が素晴らしいのだ。

 

子どもは、平気でウソをつくし、約束を破るし、期待を裏切る。
それが普通だと僕は思う。
だから、語弊はあるかもしれないが、それが特別悪いことだとあまり思っていない。

「明日の朝は6時に起こして!」「本当に起きるんでしょうね?」「うん!」
というやり取りのあった翌朝、何度起こしても起きずに、逆ギレする子ども。
子どもを起こすために、自分まで早起きしなくてはいけなかったお母さんは
そんな態度を取られたら腹立たしいだろうけれど、
子どもなんてそんなもんでしょ!って思ってしまう。

僕らも、「次から頑張ります!」とか、「気をつけます!」と言われることは
数多くあるけれど、その通りになることは、まずない。
また、どうしても行きたい学校があるというから、
じゃぁ、とことん協力しようじゃないか!精一杯応援しようじゃないか!
と、その子がその学校に合格するための、その子だけのプランを準備しても、
当の本人に全くその気が無く、課題を渡しても梨のつぶてということもよくある。
毎年毎年、何度想いを裏切られたことか(笑)。

しかし、伝説となる子は違う。
信頼関係というか、相思相愛関係(笑)というか、
今風に言えば、太い絆のようなものがそこにはある。
僕らもその子の全てに応えようと思うし、その子も僕らの全てに応えようとする。
そこには、お互いにウソやごまかしがない。
その子の姿勢は、周りの生徒から一目置かれるものとなり、
その子の姿勢が、周りの空気を良いものに変える。

 

成績が良いからそうなるわけではないし、学力が高いからそうなるわけでもない。
だが、勉強に向かう『核』のようなもの、
あるいは『芯』のようなものを持っている子は、
この人(例えば先生)の言う通りにやってみよう!と、真っ直ぐに信じられる子であり、
そういう子は、いずれ必ず伸びていく。