今年の2月におこなわれた逗子開成中学の国語の入試では、
短めではあったが、論述問題が出題された。
そして一昨日、神奈川大学附属中学校(以下、神大)が、
来年の入試から、(200字程度?)論述問題を出題することを発表した。
両中学とも、記述問題に関しては、これまでも出題しているが、
今回の論述問題は、今までとだいぶ毛色が違う。
具体的に、神大が公表した例題では、200字弱のリード(導入)文の後、
『今後社会がどう変化していって』
『非言語コミュニケーションがどうなっていくか』
を問いにしている。
近い将来、このような論述問題に対して、
「何をやったらいいですか?」とか、「対策してください。」
という声があがるだろう。
もちろん、塾で何も手を打たないわけではない。
だが、問題を数多く解きさえすれば、できるようになるとは言えない。
なぜなら、ここに必要な力は、ただの記述力ではないので、
書き方の指導をするだけで書けるようになるわけではないからである。
リード文を読んで、条件を読み取り(意図を汲み取り)、
問題意識を持って考えを巡らせ、ときに具体化した上で、
それを決められた字数でまとめあげる。
文章を読むだけでも一苦労の子には、そもそも不可能に近い。
読むことはできても、条件や意図に合わせられない子は、ピントがずれる。
そしてこの次が特に難しい。
これまでは、問題と答えが常にセットになっていたから、
いざとなれば、答えをおぼえればどうにかなるところもあった。
ところが、この論述問題には唯一絶対の答えが無い。
リード文の中にも答えは書いていない。だから抜き出し問題のようには解けない。
そもそも、社会がどう変化していくか?など、本当のところは誰もわからない。
さらに、その未来の社会と、非言語コミュニケーションをどう結び付けて書くか。
これは相当難しいと思う。
もちろん(ある程度)十分な知識があった方がいいが、知識だけでは書けない。
知識にプラスして、考える力や、問題を見出す力がないといけない。
まぁ、ここまで難しい問いに満足に答えられる小学生など、なかなかいないから、
ここで点数に差がつくとは考えにくい。
だから、受験を乗り切るという観点だけで言うなら、
(配点次第ではあるが)この論述問題を捨てるのも手である。
だが、それでも対策を…ということであれば、
日々の過ごし方、生き方から見直していかないといけないと思う。