勉強をしても、それがうまく結果に結びつかない子の中に、
前回のブログで書いた「言葉や単位を大切にしない」子は多い。
正確には、言葉や単位に限定されるものでもなくて、
全てにおいて細部を大切にしない性質というか、
粘り強く読んだり考えたりすることを面倒くさがる性質というか、
我慢がきかない性質というか、そういう性質・性格の子である。
例えば、「時速50kmで5km進むのには何時間かかるか」と、
こういう(まぁ意地悪な問題ではあるけれど)問題に対して、
50÷5=10とやってしまう子が、このタイプに当てはまりがちだ。
だが一方で、こういうタイプの子全てに対して、
「算数ができない!」と決めつけるのは、それはそれで違うと思っている。
なぜなら、前回のブログで書いたように、この問題の意味するところを、
まだイメージできていないという可能性があるからである。
先ほどの問題で「1時間で50km走る車が、5km先の目的地に行く」ことをイメージし、
すぐ着くじゃん!と思えた子なら、50÷5=10という式は書きにくくなる。
10時間という答えはおかしい!ありえない!と気づく。
5÷50という式を思いつけなくても、50÷5でないことには気づけるようになる。
(もし時速50kmで10時間走ったら、500kmも進んでしまうじゃないか!とわかる。)
逆に言えば、50÷5をやってしまう子は、そのイメージを持たないまま、
ただ、大きい数字を小さい数字で割っているだけ、
つまり、数の大きさを表す記号を使って、計算しやすい式を書いただけなのだ。
だから、算数の問題を解けるようにするには、机に向かってやる勉強だけでなくて、
日常生活における経験値を増やすことも重要なのだ。
とはいえ、日常生活の経験値を増やすと言っても、
何をやったらいいか、何から始めたらいいか、どこまでやればいいか…は、わかりにくい。
このテキストを読んで!のようなものであれば、わかりやすくて取っ付きやすいけれど、
そうでないものは際限もなくて、実践しにくい。
だから、せめて、机に向かってやる勉強のときは、
細かいことを大切にしよう!と説くのである。
単位に気を配ろう!問題文をよく読もう!
その数字が速さを表すもの、距離を表すもの、と気にするようになれば、
「この2つが分かっていたら時間が求められる!」と気づけるようになる。
そして、細かいことに気を配れるようになって、日常の経験値も増えてくれば、
「20分で7km進む時速は?」のような問題で、
7×3を思いつける(思いつけなくても聞けば納得できる)ようになる。
ここまできたら、勉強しても結果に結びつかないという状態ではなくなっていると思う。