さて、最後に、ちょっとだけ大きなテーマで。
受験は、受かる人がいれば、そうでない人もいるのだから、
勝ち負けのつく戦いというか、競争であることは間違いない。
ただ、受験に関してはそうだけれど、勉強に関しては、そうではない。
勉強は、誰かに勝つためにやるものではない。
受験だって、誰かを負かすためにやるものではない。
こう言われれば、そりゃそうだと多くの人が納得してくれると思う。
だが、例えば、テストの順位が何位だった、偏差値がどうだった…
とやっているうちに、いつの間にか、勝ち負けを競うものになりがちだ。
「〇〇くんに勝った!」「負けた!」
おそらく多くの塾で聞かれる生徒同士の会話だと思う。
まぁ、競わせるという方法は、勉強のモチベーションにはなりやすい。
親の立場でも、僕らの立場でも声掛けしやすい。
「勝った!」と言われたら、「すごいね!頑張ったね!」と言いやすいだろうし、
「負けた!」と言われたら、「次、頑張ろう!」と、きっと言ってしまうだろう。
前回、60点だったものが、今回は80点に上がったとか、
そういうのを個人で(あるいは先生と)喜ぶのは大いにアリだと思う。
それは自分の中での成長だから。
あるいは、AくんとBくんの2人で完結している話で、
お互いが気分よく切磋琢磨できているだけなら、別にいい。
しかし、往々にして、無関係でいたいのに巻き込まれてしまう人がいる。
塾によっては、成績順に座席の決まる塾もあるが、
目に見える形で、しかも、たかだかテストの点数なんぞで、
子どもが序列化されてしまう。
(まぁ、クラス分けもその1つになってしまうけれど。)その結果、
「後ろの席にはなりたくない!」などの言葉が悪意なく発せられるようになる。
親が言う「偏差値〇〇より下の学校には行かせない」のようなセリフも、
各家庭の方針としては理解できるが、子どもに言うべき言葉ではない。
その学校を目指している子も、その学校に進む子もいるのだ。
競争で燃えてくれるのは、声掛けする側は楽なのだが弊害も多い。
(成績だとかが)うまくいっているときは気づきにくいが、
いざ、自分が(または自分の子どもが)その競争から遅れ始めると、
カンニングに走ったり、人の足を引っ張ったり、
自分よりも点数の低い子をバカにしたり…し始める。
受験は勝ち負けのつくものだけれど、
勉強の目的は勝ち負けをつけるところにはない。
少なくとも、受験生でもないのに、テストテストで煽るのは、
思っている以上に危険なことだと思っている。