授業の中でたまに作文を書いてもらう。
例えば「自分の志望校について」なんてテーマで。
自分がどこの中学に行きたいかを言葉にするのは、簡単そうで簡単ではない。
単純に、「人に知られたくない」という子もいるし
「合格しなかった時に恥ずかしい」と受ける前から落ちたことを心配する子もいる。
憧れの学校はあるけれど、「自分の力がそこまで届く自信を持てない」子もいれば
憧れの学校はあるけれど、それを言葉にした時点で
やらなければいけない勉強がいっぱいあることを察して
「言葉にしたくない」子もいる(笑)。
そしてまた、自分自身の気持ちが「よくわからない」という子もいる。
文化祭やオープンスクールには行った。
いくつかの学校を比較もした。
だけどどこに1番行きたいかよくわからない。決められない。
その結果「受かりそうなところでいい」となることもあるし、
「どこが向いてると思う?」と助言を求められたり判断を委ねられたりすることもある。
そんな時にこの作文のように、頭の中にあることを言語化させる作業は有効だと思う。
別に行きたい学校が1つに絞れている必要はない。
ただ、この作文をガーっと一気に書きあげられる子は、
すでに頑張れる下地みたいなものがあるし、
最初は「何書いていいかわからない」なんて言っていたのに、
最終的に長編を書いてしまうような子は、
書いているうちにモヤモヤしていたものが少しはっきりしたんじゃないかと思う。
作文を書く前は○○に行きたいと思っていたものが、
書いているうちに本当は私は◎◎に行きたいんじゃないかと気づくことすらあると思う。
言語ではないが表現という点で同じなので、ピカソの言葉を紹介してみる。
「描こうとするものを知るには描きはじめねばならない」
表現することで、自分の本当の気持ちや考えに自分自身が気づく。
文字にするのが億劫なら、たくさん話してみるだけでもいい。
そうしたら正体不明だった心の中のモヤモヤが晴れて、スッキリするはずだ。
There is always lights behind the clouds
くるりの「There is」という曲を聴きながら、そんなことを思った。