第一志望に合格できなかったとする。
希望の学校に届かなかったのだから、気落ちするなんて程度のもんじゃなく、
何もする気が起きなくなることだって、十分にありえると思う。
だから、すぐに立ち直って勉強を頑張るなんて、口で言うほど簡単ではない。
再び立ち上がって歩き出すのに、何か月か、あるいは何年かかかることもあるかもしれない。
だから、無理に立ち上がれとは言わない。すぐに前を向いた方がいいとも思わない。
休息も必要だ。
頭や身体だけじゃなくて、心も休めた方がいい。
そう思っているのは本心なのだが、同時に少し厳しいエールも送りたい。
だいぶ前の卒業生なのだけれど、それはそれは真面目に頑張っている子がいた。
サボったところを見たことがない。
ちょっと頭がかたくて不器用で、本人もそのことで苦しんでいたけれど、
そんな自分をなんとかしたくて、なお一層頑張るような、そんな子だった。
だけど、第一志望に届かなかった。
第二志望にも届かなくて、第三志望の学校に進学した。
全て終わった後で思い返しても、あれ以上の努力をするのは無理だろうと思えた。
だからこそ、第一志望に受からせてあげたかった。
せめて第二志望には届かせないといけなかった。
入試が終わって随分経っても、ずっと心に引っかかって(私は)引きずっていた。
だけど、その子は進学先での生活を充実させていた。
6年間、成績も学年順位一桁の常連だった。
「心に引っかかって引きずる?」「余計なお世話です!」
そう言われた気がした。
入試の結果が、期待通りのものでなかった場合、
「こんなはずじゃなかった」と思うことはあるかもしれない。
だけど、「こんなはずじゃなかった」と自分では思っていても、
その後の過ごし方によっては、
段々と「こんなもんだったんだよ」になってしまうかもしれない。
もちろん、勉強が全てではないし、成績が良くないといけないとも思わない。
ただ、その子の話を聞くと、
「こんなはずじゃない」と思った、その悔しさや意地みたいなものを、
あるいは、「ここでまた新たな気持ちで頑張ろう!」という謙虚さのようなものを
ずっと持ち続けていたのかなぁと思う。
結果が全てと言う人もいるかもしれない。
だが、その子の受験後の振る舞いを知っている人なら、
その子は、第一志望や第二志望に受かる可能性が十分にあったと、きっとわかる。
そして、結果が全てではないことも、きっとわかる。
進学先がどこであろうと、その子は立派で素晴らしかった。
中学受験は通過点。
どこの学校に通おうが、みんなはまだまだ「こんなもんじゃない」。
今後の飛躍を信じているよ!