それにしてもである。
なぜ、どこの誰かもわからない人の口コミを信用してしまうのだろう。
例えば、他塾にお子さんを通わせている親御さんに、
我々が、何らかのアドバイスをしても、多分、全く聞いてもらえないと思う。
我々サーパスの講師は、長い者で塾講師歴ウン十年、
だいぶベテランの域に入るが、その身分や経験を明かした上で、
何かしらのアドバイスをしたとしても、やっぱり聞いてもらえないのではないか。
もっというと、塾生やそのご両親にすら聞いていただけないこともある(涙)。
なのに、どんな人が書いているのかわからないネット上の口コミのことは、
参考にしたり信用したりする。
「今年、我が子が受験を終えました」とか「元大手塾講師です」
などと自己紹介文が添えてあると、その口コミの信憑性が増したりするようだが、
その自己紹介が(確かめようはないが)本当だったとしても、
その人は我が子のことを全く知らない赤の他人なのだ。
道ですれ違ったときに突然話しかけられでもしたら、
きっと気味悪がること間違いなしの、赤の他人なのだ。
その赤の他人の言ったことを真に受けるという、なんとも不可解なことが起きる。
また、知り合いからの口コミについても考えておきたい。
例えば、「受験直前期、ウチは11時に寝て、5時に起きて勉強していたよ」
と言われたとする。
夜も勉強を頑張って、朝も早くから頑張っていてすごいな!とは思う。
その子が第一志望に合格できたのであれば、それを成功体験として、
他の人、特に仲のいいお友達のお子さんにアドバイスしたくなるのもわかる。
だが、一般論としては、受験において睡眠時間を削るのはご法度とされる。
これは私個人や、サーパス特有の考え方ではない。
頑張った子にケチをつけたいわけではないのだが、
もし毎日7時間以上寝ていたら、もっと学力が伸びていた可能性もある。
8時間寝ていたら、もっともっと伸びていたかもしれない。
もちろん、「たられば」と言えば「たられば」なのだけれど、
要は、たった一例、あるいは、たった数例の、
本当は成功と言えるかどうかもその人次第である成功体験を、
知っている人からのアドバイスだからと取り入れてしまうのは危険なのだ。
もし、子どもは6時間寝ていれば十分だという科学的根拠があるのであれば、
どこの塾でも、どの先生も、それを勧めているに違いない。
しかし、睡眠不足でパフォーマンスが落ちるのは大人も一緒で、
それをヤル気があればとか気合いがあればとか、
そういう根性論に持っていくのは、指導として間違っていると思う。
そして、えてして根性論に持っていきがちなのは、
知り合いよりももっと身近な、身内だったりする。