『まつもtoなかい』というテレビの新番組で、
元SMAPの中居くんと元SMAPの香取くんが共演したことが話題となった。
細かい諸事情は割愛するが、少しだけ状況を説明すると、
SMAPという5人組の国民的アイドルグループがいて、2016年に解散した。
その後、2人は別々の道に進んだことで、一切交わることがなかったのだが、
この番組で、解散後、初めての共演が実現したのだ。
この番組の中で語られたことによれば、
昨年、中居くんは何らかの病気を患って、長期間休養していた。
その(病気になる)ときまでは、
(SMAPのリーダーだった)中居くんから香取くんにメールすることはあっても、
香取くんは「お互い別の道に進んだのに(連絡がきて)うざかったから」
と、返事をすることもなく、特別な接点はなかったようである。
しかし、中居くんが休養するほどの病気になったということで、
今度は香取くんから中居くんに連絡をとった。
「体調を崩したとなれば、もうウザイとか、そういう話ではなくなる」
それで「会えますか?」と、ドストレートなメールを送ったのだという。
しかし今度は、人に会える状態ではなかった中居くんがそれを断った。
すると香取くんは電話で話せるか?と打診したり(それも断られた)して、
その後も2カ月間、連絡を送り続けたらしい。
中居くんが当時どんな病気だったのかは存じ上げないが、
誰にも会いたくないし、電話で話すのもキツイという状態だったのだとすると、
この香取くんの連絡は、ありがたい分、
かえってしんどいものだったかもしれない。
連絡をされた方は、返事をしなければ!と思うものであり、
中居くんのようなきちんとしたタイプなら尚更、
きちんとすべきときにきちんとできない自分を責めてしまうかもしれない。
だから、こういう状況下では、そっとしておくのが思いやりである。
それを「大丈夫?」などとやってしまうのは、相手を思ってというより、
ただ自分の行動に酔っているだけ、エゴでしかない
というのが一般的な感覚なのだと思う。
だが、その一般論を越えたところに、もっと深い愛があった。
誰にも会いたくない、誰とも話したくない、外にも出たくない…
そういう気持ちを尊重してもらった結果、
誰とも繋がるきっかけを失ってしまったように感じ、
自分では今の状況を良くするどころか、何もできなくなる…、
そういうこともあるように思う。そんなとき、
ウザいと思われようが、2カ月間連絡をし続けてくれている人がいる。
それがどれだけ自分の心を温かくしてくれることだろうか。
宮台真司がいうところの
「自分が助かるために作る絆は絆ではない。」
「何を置いても助けたい仲間がいる場合にだけ絆がある。」
そういう仲間、友人のいる人生は、それだけでもう素敵だと思う。