今日、WBC(ワールド ベースボール クラシック)の決勝戦がおこなわれ、
日本がアメリカを3対2で破って、2009年以来の優勝を果たした。
日本の試合を追い続けた人にしか伝わらない話になるけれど、
栗山監督は、素晴らしい監督だった。
野球の監督というよりは、教育者という言葉が相応しかったように思う。
勝負にこだわった非情な采配ができないと
日本ハムの監督をしていた頃から言われていたし、
実際、このWBCでも、不調の村上選手を使い続けたことへの批判はあった。
しかし、昨日の準決勝、特に今日の決勝については、
村上選手がいなかったら、結果はどうなっていたかわからない。
もちろん、他の選手を使っていたら、もっと楽に勝っていたかもしれない
と言う人もいるだろうけれど、だからこそ僕は、
栗山監督という人は教育者だと思うのだ。
大谷選手の漫画のような、いや、漫画でもやりすぎに感じるであろう活躍と、
様々な場面において、漫画以上に劇的なストーリーが際立っていた大会だったが、
村上選手の起用についても、優勝という結果がついてきたことで、なお一層、
信じて起用し続けた監督と、その起用と思いに応えて結果を出した選手
という構図が、成功事例として、美談として、取り上げられがちだ。
だが、勝負に「もし」や「たられば」はないのだが、
むしろ逆に、村上選手が今大会で全く活躍できていなかったとしたら、
そのときこそ、栗山監督の凄さがわかったのではないかと思う。
野球には、相手がいるのだから、どんなに村上選手が頑張ったところで、
結果が伴わないことはありえる。最後まで打てない可能性もあったと思う。
それでも信じた、信じ続けた、ということの凄さ。
責任は自分が取るという覚悟のもと、
そのときどきの結果や批判でガッカリしたりブレたりせずに、
最後まで任せるということの凄さ。
村上選手が(好機で)打てずに、準決勝や決勝で負けていたとしても、
それでも、その信頼というか、彼への気持ちは揺るがなかったのではないか。
3.11の日に佐々木投手を先発させたことも印象的だったが、
栗山さんの大切にしている想いだとか、美学だとかを貫きつつ、
見ている人たちを興奮させ、感動させられるようなストーリーを描き、
そして、優勝という結果まで手にした。
集まった選手層が厚かったから…という人もまたいるだろうけれど、
それだって、やっぱり栗山さんの人徳なのだろうと思う。
感動した。素晴らしい大会だった。