苦言はありがたい

突然ですが、もし塾の先生という仕事に就いていて、
カンニングをしている子を見つけたら、どうしますか?

ちなみに、多くの塾ではカンニングについては野放しです。
なぜなら、カンニングをする子の多くは、それを指摘したところで
「していない!」と言い張り、お家に帰ってお母さんやお父さんに、
「カンニングしてないのに、カンニングしたって言われる!」
「あの先生嫌だ!」「もう塾行きたくない!」と、言うからです。

冷静かつ客観的に判断できる親御さんであれば、
その子どもの発言を全面的に信じるということはないでしょう。
かといって、我が子のことを全く信じないというわけにもいかないでしょう。
冷静な方ですらこうですから、まして親御さんが冷静でなかった場合は…

怒る方もいるかもしれません。そのまま塾を辞める方もいるかもしれませんし、
その怒りをSNSに書き込む方もいるかもしれません。
先生にとっても、塾にとっても、カンニングを指摘することが、
その後とても面倒なことに発展する可能性を孕んでいるのです。
見つけた先生が見て見ぬふりをすれば、そのリスクは回避できます。
その子の将来<塾の経営、と天秤にかけて黙認するのが普通の塾です。

カンニングなど、指摘しなくてもいずれ直ると考える人もいます。
本当に直るかどうかは知りませんが、少なくとも直るまでの間、学力は伸びません。
ギリギリまで努力し続けることなく、いざとなったら見ればいいや!
と思っている子の精神は、ズルいとかセコいというだけでなくて、
それこそ自己肯定感とは真逆の方向に進もうとしています。
これでは学力が伸びないどころか、心の成長もありません。
しかも、カンニングをしている本人だけ、バレていないと思っていますが、
その周りにいる人は大体その行為に気づくので、そこで信用を失います。
友達をも失うのです。

カンニングに限った話ではないのですが、
こいつには言っても無駄だな。言って逆ギレされても面倒だし…。
と、注意や指導をしない先生、上司、先輩が多い時代です。
それでも自分の何かしら悪い部分を注意されたとしたら?

その瞬間、カっとなるかもしれませんが、これは今どき本当に珍しいことで
ありがたいことなのだと思えた方がいいと思います。