環境会計という言葉を聞いたことはありますか?
環境への取り組みをしている企業を応援しようというものです。具体的には企業が環境報告書といったものを作成し、財務諸表とともにCSR(企業の社会的責任)への取り組みも公表しようというものです。これにより、企業は経営面だけでなく、環境面でも評価を下されるようになります。その結果、社会的責任を果たせない企業は淘汰され、人々にも地球にも良い生産活動が行われることが期待されています。
そして、もっとも大事なことは、この評価をするのは私たち消費者や関連企業といったステークホルダー(利害関係者)であることです。商品やサービスを購入するということは、自分たちの欲望を解消する、という目的があってのものだと思います。ですが、それ以外にも、その商品やサービスに携わった企業を応援することにも繋がる、という視点も持ち合わせています。
企業の社会的責任を果たすべく、外からは見えにくい努力をしているA企業。
自社の利益の最大化にしか経営資源を投資しないB企業。
どちらの商品を買いたいと思いますか?
商品自体の魅力や、価格に差がなければ、多くがA企業から商品を購入したいと思うはずです。しかし、私たちには、この2社の違いをどのように見分ければいいのでしょう?
環境会計という考え方が浸透すれば、少なくとも2社を見分ける判断材料にはなると思います。しかし、わざわざ環境報告書を見て判断するなんてことは、一般的な手法ではありません。テレビCMや広告を見て、受け取ったイメージを元に選択をすることがせいぜいでしょうか?今よりももっと、簡潔な手法が必要なことは明らかです。
では、価格差や商品価値に差があった場合、どこまでギャップを越えた選択ができるのでしょう?何も、後者の企業はコンプライアンス(法令遵守)を破っているわけではありません。ですので、どこまでCSR的な行動ができるのかは、各々の裁量によります。B企業の企業を選ぶことも、多分にあるでしょう。
◯◯社の商品を購入した。
結果だけ見れば、それだけのことなんです。しかし、何も考えずに行う「消費」と、一度でも思考が挟まれた上での「選択」には大きな差異があるはずです。通販会社の最大手Amazonは、商品購入から1時間以内に配送するサービスを一部地域で始めています。ワンクリックで必要な物やサービス、情報が簡単に手に入る時代です。消費は、子どもでも行うことが出来る身近な社会活動の一つです。だからこそ、消費を欲求の解消という側面からだけでなく、社会を動かす選択という大局的な捉え方も持ちあわせ、社会に参加していることを感じてほしいなと思います。