iPhoneのスリープボタンの不具合から始まって、電源が入らない。
入っても画面がフリーズして動かない。充電があっという間になくなる…
などの症状に発展し、「これはやってられん!」と、Apple Storeに駆け込んだ5月2日。
「リセットをかけてみましょう!バックアップは取ってありますか?」
と聞かれたけれども、こういう危機管理は全くしてこなかったので、
「いいえ、何も。」と答えるのみ。
「ではこちらで取りましょう。」と、
お店の1階でiCloud上にバックアップを取ってもらって、
いざリセットをかけてもらったが、不具合は直る様子ゼロ。
「これはもう交換ですね!」と言われたので、「ではお願いします。」と頼むと、
「もうGW中は予約がいっぱいで、ウチでは無理です。
おそらく他の店舗も無理なので、
提携している正規プロバイダの方に行ってみて下さい。」などと言う。
「そちらは予約いっぱいではないのですか?」と、
後から考えれば不毛な質問をしてみたが、「それはこちらではわかりません。」と。
仕方なくこの日は諦め、翌朝提携しているカメラ屋に行ってみた。
ここもそれなりに混雑していたが、1時間ほど待って交換してもらえた。
あくまでも交換なので、今まで使っていたiPhoneは返却である。
だから、目の前で自分のiPhoneのデータを消してもらわなければならない。
実はここからが本当の悲劇の始まりだった。
新しく手に入れたiPhoneを自分仕様にするために、
昨日Apple Storeで取ってもらったバックアップの復元を試すと、
毎回必ずフリーズして失敗に終わる。データが何一つ戻ってこないのだ。
5月3日。この日は中・高のプチ同窓会だった。
しかしiPhoneが使えないままだと緊急の連絡も仕事の連絡も受けられないから、
まずはこれをどうにかしたい。
カメラ屋から再びApple Storeに出向き、バックアップの復元の仕方を聞いた。
この時はまだ安易に、そうはいってもプロに頼めば復元できるだろうと思っていたが、
ある程度の操作なら答えられる1階のスタッフも、
上の階にいるもう少し専門的な知識を持ったスタッフも、
どうやらお手上げらしい。
僕の使い方に問題は全くなかったらしいが
「こういったバグは私たちもわからない。
きっとバックアップを取った時に問題があったのだろう。」とのこと。
誰かの責任を追及したいわけではないし、
Appleのスタッフの方はみなさん親切だったけれど、
データの保存からずっとお任せしていたのだから
何とかして欲しいとしか言いようがない。
とうとう店舗では対応不可になり、(電話の)サポートセンターに
スーパーアドバイザーと呼ばれる人が出てきた。
この時点ですでに夕方。
もう同窓会は始まってしまっているが、
なにせデータを戻せない限りは連絡先がわからない。
この日は時間切れ。iPhoneは直らず、同窓会にも行けなかった。
5月4日。この日も予定があったが、朝から電話でスーパーアドバイザーとのやり取り。
その中で連絡先が一度戻ったことがあったのだが、
せっかく連絡先が戻っても他のデータが戻らないから、もう一度他の方法を…
とやっているうちに、とうとう連絡先まで戻らなくなってしまった。
5日、6日もあいている時間は、
スーパーアドバイザーがあれやこれやと考えてくださったが、
最終的には「もう手だてがない。」とのことで、最後の砦もお手上げで終わった。
まだ携帯電話すらなかった時代は、連絡先は手帳に全部手書きで保存していたが、
最近は全くそんなことをしなくなった。
またバックアップを取っておいた方がいいとは色々なところで見聞きしていたが、
正直必要を感じていなかった。めんどくさがっていた。
そういう作業をめんどくさがる人のためにiCloudなんて
(僕には)得体のしれないものがあるんじゃないかと思うけれど、
それもやはり完璧ではないわけで、
危機管理は自分でしないといけないのだなぁと、つくづく思った。
そしてまた、気づかぬうちにiPhoneがないと暮らしていけないような、
そんな生活に自分が陥っていたことを知った。
こんなに何でもある環境に暮らしていながら、
突然絶海の孤島に追いやられたかのようだった。
携帯やパソコンに依存した生活からはそう簡単に抜け出せないし、
抜け出そうともがけばもがくほど絡みついてくるような気にもなるが、
なんだかとてもまずい気がしてきた。