青春とは
原作詩:サムエル・ウルマン
自由訳:新井満
青春とは 真の 青春とは 若き 肉体の中に あるのではなく
若き精神の中にこそ ある
薔薇色の頬 真っ赤な唇 しなやかな身体 そういうものは
たいした問題ではない
問題にすべきは 強い意志 ゆたかな想像力 もえあがる情熱
そういうものが あるか ないか
こんこんと涌きでる 泉のように あなたの精神は 今日も新鮮だろうか
いきいきしているだろうか
臆病な精神のなかに 青春はない 大いなる愛のために発揮される
勇気と冒険心のなかにこそ 青春は ある
臆病な二十歳がいる 既にして 老人
勇気ある六十歳がいる 青春のまっただなか
歳を重ねただけで 人は老いない
夢を失ったとき はじめて老いる
歳月は 皮膚にしわを刻むが
情熱を失ったとき 精神は しわだらけになる
苦悩 恐怖 自己嫌悪
それらは 精神をしぼませ ごみくずに変えてしまう
誰にとっても大切なもの それは感動する心
次は何がおこるのだろうと 目を輝かせる 子供のような好奇心
胸をときめかせ 未知の人生に
挑戦する喜び
さあ 目をとじて 想いうかべてみよう
あなたの心のなかにある 無線基地
青空高くそびえたつ たくさんの
光り輝くアンテナ
アンテナは受信するだろう
偉大な人々からのメッセージ
崇高な大自然からのメッセージ
世界がどんなに美しく 驚きにみちているか
生きることが どんなに素晴らしいか
勇気と希望 ほほえみを忘れず
命のメッセージを 受信しつづけるかぎり
あなたはいつまでも 青年
だが もしもあなたの 心のアンテナが 倒れ
雪のように冷たい皮肉と 氷のように頑固な失望に
おおわれるならば
たとえ二十歳であったとしても
あなたは立派な 老人
あなたの心のアンテナが 今日も青空高くそびえたち
命のメッセージを 受信しつづけるかぎり
たとえ八十歳であったとしても
あなたはつねに 青春
青春とは 真の 青春とは
若き肉体のなかに あるのではなく
若き 精神のなかにこそ ある