おぼえる算数

算数は、考えて解くものであって、暗記して解くものではない。
「算数や数学は、解法を暗記していれば、解けるようになる!」
などと言う人がたまにいるが、
それは算数や数学の、最初の方、ある一定レベルまでの話である。
算数や数学に深く関わっている人なら、こんな発言はしない。
だから、こういう発言をしてしまう人は、おそらくその分野に詳しくない。

一方で、算数にしても数学にしても、
「公式なんておぼえなくていい。」
「理屈がわかっていたら、テスト中にでも公式は導き出せる。」
という人がいるが、これもまた鵜呑みにはできない。
もちろん、理屈もわからず公式を暗記するのは、オススメしないし、
理屈を理解していれば公式を導きだせるのも、その通りだと思う。

だが、例えば『(多角形の)対角線の本数の公式』なんてものは、
理屈を理解した上で、暗記しておいた方が絶対にいい。
この程度の公式を、テスト中に導き出すなんて、時間の無駄である。
大体、「公式なんておぼえなくていい!」と言っている人も、
この程度の公式は絶対におぼえている。

 

ただ、暗記の仕方として、漢字や英単語のようにおぼえるのは違う。
対角線の本数を求める問題は、どんな塾に通っていても、
5回、10回…とやったことがあると思うが、
公式に数字を当てはめるだけで解こうとする子は、
何回やってもなかなかおぼえられないし、
期間をあけ(てやらせ)ると、きれいさっぱり忘れてしまう。
その問題を解く際に、理屈を考えることで、経験的におぼえて欲しい。
なぜそうなるかを考えながら、2問3問と解いていけば、きっとおぼえられる。
そして忘れなく(忘れにくく)なる。

考えながら解くことで公式をおぼえることができたら、次からは、
考えなくても公式を使って解けるようになる。
公式という表現を解法に言い換えてもいい。
考えながら解くことで解法をおぼえることができたら、次からは、
考えなくても解法を使って解けるようになる。
すると、解くスピードが速くなる。応用問題に時間を割けるようになる。

 

暗記だけでできるようになるわけではないけれど、
暗記しておいた方がいいことはたくさんある。
丸暗記ではなく、理屈で暗記、経験的に暗記を目指して欲しい。