想像力を働かせてほしい

中学受験塾においては、学年が上がるのは2月(のところが多い)です。
小学校では、学年が上がるのは4月ですから、2か月ほど早いわけです。
つまり、現5年生は40日後にもう受験生になります。
危機感を煽って、勉強しなさい!と脅したいわけではありませんが、
自分が(遂に)受験生になるのだという想像力を働かせてほしいです。

 

ここでいう想像力とは、勉強への意識や取り組みだけではなくて、
今の6年生に対する配慮も含めた想像力です。
試しに想像力を働かせてみましょうか。
自分が今6年生だったと想像してみてください。

今は受験直前期です。さすがに、勉強に集中したいと自覚が芽生えているでしょう。
そんなとき、あるいは先生に真剣に質問をしているとき、
その隣で、大声でお喋りしている下級生がいたら、どう思うでしょう?
繰り返します。受験直前期です。
インフルエンザやコロナはもちろん、風邪もひきたくないですね。
そのとき、マスクもしないで咳をしている人が近くにいたら、どう思うでしょう?


とあるパン屋さんでの最近の出来事ですが、
レジ横に陳列してあるパンの目の前で、会計をしてもらいながら、
不必要に大きな声を出し、しかもノーマスクでお喋りするおじさんを見ました。
喋りたい、マスクはしたくない…それぞれ個人の自由です。
しかし、本人はそれで良いのでしょうけれど、他の人にとってはどうでしょうね。
その現場に居合わせてなお、レジ横にあったパンを買いたいと思いますか?
そういう想像力を働かせられて、心配りができるようになったら、
それだけでも少し大人になったと言えるんじゃないでしょうか。
(まぁ、おじさんは年齢区分上は大人なはずなんですが…)

本当は、これらは受験生になる子だけに必要な想像力ではありません。
また、6年生がそばにいなければ何をしてもいいというわけでもありません。
誰相手にだって、不必要に迷惑をかけるのは良くないですし、
インフルエンザや風邪に気を付けているのは、私たち先生も同様です。


近頃、世の中全体、そういう想像力を持てない人が増えた気がします。
横断歩道があるのに、速度を緩めることなく走ってくる車だとか、
見通しの悪い交差点に、ブレーキもかけずに進入してくる自転車だとか、
ものすごく狭い視野で生きているんだろうな、
自分の都合しか考えていないんだろうな、
(昨日まで無事だったから)自分は平気だと思い込んでいるのだろうな
そんな風に思います。

もちろん、どんな人だって完璧にはいきません。
かくいう私だって、知らず知らず、誰かに迷惑をかけていると思います。
ただ、誰もが学習することはできるはずです。
今、受験生がどんな心境なのかまでは想像できないかもしれませんが、
5年生なら5年生なりの、4年生なら4年生なりの
想像力を働かせてほしいと思います。