カリキュラムの話①

以前にも書いたことがあるが、
大手塾のカリキュラムがすさまじいことになっている。
以下は4年生の予習シリーズの後期カリキュラムであるが、
毎週毎週の内容の濃さ(重さ)が、とてつもない。
https://www.yotsuyaotsuka.com/kyozai/pdf/4th_grade/R4_4_2.pdf
サーパスの56年生や卒業生、あるいはそのご家族が見たなら、
そのスピードに驚くどころか引くんじゃないかと思う。

 

サーパスのカリキュラムは、他塾と比べたらずっとずっとゆっくりなのだが、
それでも、毎週の授業内容を理解するのには、それなりの苦労があるはずだ。
ある程度、順調についてきていた子でさえ、大手のこのカリキュラムだったら、
理解したり納得したりする余裕もなく、
作業のような勉強スタイルになっていたかもしれない。

すなわち、教わった直後に類似問題を解くと、なんとなく解けたりして、
できるようになった気になり、わかった気になるものだが、
本当に「わかって」「できる」ようになるまでは、
(一部のトップ層を除けば)熟成期間を必要とするのではないかと思う。

教わったことを再現する意識で授業を聞いていれば、
(教わった直後なら)パターンに当てはめる形で、ある程度問題は解ける。
だが、それはまだ本当に理解したことにはなっていない。
日が経つと、解き方を忘れた!と言い出すくらいの理解度である。
だから、(サーパスなら)「何度か復習をした方がいいよ!」と声をかけたり、
授業や演習の際に、繰り返し、問題に触れさせたりするのであるが、
そうやって何度か繰り返したり、思い返したりすることで、
身体に染み込むように理解が進むのだと思う。

 

しかし、これだけ内容の濃いことを毎週毎週続けられ、
そして(毎週末の)テストでその到達度を試され、クラス替えをされるとなると、
点数を取るためのテクニックに走らざるをえず、復習をする時間の余裕など無くなる。
熟成などとは言っていられないと思う。

しかし、それでも多くの親御さんは、こう考えているのだと思う。
「大手の多くが、その前倒しカリキュラムを導入している以上、
そのペースについていけないと中学受験で戦えない!」
あるいは、目指す学校のレベルが高ければ高いほど、
「そのカリキュラムについていくことが、合格への最善手である!」と。

そのカリキュラムに難なくついていける子や、それを楽しめる子はいい。
だが、そんな子は、ほんの一握り。10人に1人もいない。
首都圏で中学受験をする子が約6万人いるとして、
そんなスーパーでスペシャルな子が6千人もいるだろうか。
筑駒や開成、桜蔭、渋渋…そのレベルの子が6千人もいるのなら、
最上位レベルの受験は、もっともっと激しい戦いになっていると思う。

その10人に1人もいないような人に合わせたカリキュラムが実際にあるわけだが、
それについていけないと中学受験で戦えない?
なんて、冷静に考えたらありえないと思うのだ。