違い

中学受験を経験しているご両親と、経験していないご両親とで、
後者の子どもは中学受験に不利!なんてことはない。全くない!
例としては少し違うかもしれないが、女子校出身のお母さんの中にも、
我が子(娘)を女子校に通わせたいと思う人と、そう思わない人とがいるように、
経験したことが、どう作用するかは、人によるとしか言えない。

ただ、経験値として(中学受験ではなく)高校受験をした人の方が、
受験は頑張れば何とかできる!と思っている率が高く、
それが、子どもへの過度なプレッシャーとなるかもしれない!
ということについて、述べようと思う。

頑張っても無駄である!などと言っているわけではない。
頑張らないよりも頑張った方が良いのは、いつの時代も間違いなくて、
そこに中学受験と高校受験の差はない。だが、誤解を恐れず言えば、
高校受験は、ほとんど落ちない試験であるが、
中学受験は、落ちる人の方が圧倒的に多い試験である。
頑張った先に、高確率で合格が待っている高校受験と、
不確実なものに向かって頑張る中学受験は、全然違うものなのである。

高校受験で、受けた学校全てに不合格になる人はあまりいない。
公立受検に関しては、
ある程度勝算のある(内申点の届いている)学校を受検する場合が多いし、
神奈川県であれば、1番人気のトップ校の倍率でもせいぜい2倍程度である。
また、もし中3の二学期の内申点が目指していたところに届かなければ、
そこから志望を1ランク下げることでどうにかなる(ことが多い)。
さらに、併願校は不合格にならないという約束手形のようなものである。

しかし、中学受験は相当数落ちる。
倍率が2倍程度の学校を目指している人はあまり多くない。
遊びや数々の誘惑を我慢して、一心不乱に勉強したとしても、
滑り止めの学校すら、合格が約束されているわけではない。
本人の頑張りも、「こんなに頑張っているのだから…」という親心も、
肩透かしにあうことの方が断然多いのである。

ある程度高いレベルの学校を志望することになると、
そこの志望者の中には、(一部を除いて)頑張っていない子などいない。
それぞれ違った能力を持った上で、色んなものを我慢しながら、
それぞれ合格に向けて頑張っている。
だが、例えば10時間勉強している人に勝つために、
11時間勉強すればいいと思うのは、安易すぎる。
そんなことをしたら、子どもは受験を前につぶれてしまう。

結果がついてこないのは、努力が足りないから。
ちゃんと努力すれば、結果はついてくる。
という発想はわかるけれど、それが行き過ぎれば危険である。
このニュアンスがうまく伝わるとありがたいのだが。