大震災から2年が経ち

東北大震災から2年が経った。

福島県郡山市出身の箭内道彦(やないみちひこ)さんは、

サンボマスターの山口隆さんらを誘って『猪苗代湖ズ』というバンドを結成し、

「I love you & I need you ふくしま」という歌を通して

故郷に愛を伝え、この歌の収益を義捐金として寄付する、

そういった活動をしている。

この曲のレコーディングは3月17日、

大震災から1週間もたたないうちに始められたそうだ。

震災直後に、何か力になれることはないか、

今すぐにでも現地に行くべきだという人と、

今行っても力にはなれない。

やれることをはっきりさせてから行かないと現地の人にむしろ迷惑がかかる。

静観しているべきだという人とがいた。

この「I love you & I need you ふくしま」という歌も、

必ずしも全ての人に受け入れられているわけではないという。

様々な理由から福島を離れる決断をした人と、

福島に残る決断をした人とがいて、

福島を離れることになった人からすると、

故郷を愛する気持ちを強制されているように感じたり、

自分が福島を捨てたと責められたりしているように思ってしまうと…。

箭内さんが言うには、「残る」という言葉自体にも

「俺は残ったんじゃない。もともと住んでいたんだ」と言う人もいて、

まさにその通りだと。

被災地とすら呼ばれたくないと言う人もいる。

もう何ごともなかったように生きて行くんだって決めた人と、

まだ前を向いて歩きだすこともままならないっていう人もいて、

忘れないでほしいと語る人がいれば、

震災の話はもう聞きたくない、放っておいていてほしいという人もいる。

「最近の若い人は…」と勝手に一括りにされることに若者が抵抗を感じるように、

「被災地では…」と一括りにされても、思うことは人それぞれ違うのだと。

東北の人たちからしたら、

勝手にわかった気になって言葉をかけられるのも同情されるのもきっと嫌。

でも、何か力になりたいとか、自分にできることはないかという気持ちを持つことは、

きっととても大事なこと。

ともすると、自己満足だとか独り善がりだとかと批判され、非難されるかもしれないが、

その間で自分に何ができるかと、

正解のない道を信念を持って進むことがどれだけ難しいかは

容易に想像がつく。

東北以外の地域では、ひょっとすると

多くの関心はもう「原発に賛成か反対か」だけになってしまっているのかもしれない。

東北と他の地域の温度差は確実に広がっている。

しかしそれだけではなく、同じ東北の中でもその温度差が確実にできている。

震災直後は被災者同士が「辛いのはみんな一緒」という連帯感もあって、

復興に向けてみんなでがんばっていこうという前向きな気持ちがあったが、

あれから2年経ってその復興の状況には明らかな格差ができた。

「今が一番辛い」という人もたくさんいるという。

復興のために寄付をし続けることもできず、

現地でボランティア活動をできるわけでもない。

結果としてどうせ何もできないのだから、何もやらないとか、

結局何もできないのに復興復興と言葉だけ並べている人は偽善者だとか、

そういう話はしたくない。

正解のない道を進まなければいけない時に、

自分と違う道を選んだ人を否定すれば、

せめて自己肯定になるのかもしれないが、それもしたくないし、してはいけない。

自分に何ができるか、何もできないのかわからないが、

仙台出身のお笑い芸人サンドイッチマンが

「旅行に行くでもいい。」「黙祷するだけでもいい。」と言ってくれていた。

自分にできることを続けていこうと思う。