理解しあうということ

先月28日、韓国でおこなわれたサッカー東アジア杯の男子日韓戦において、

日本のサポーターの男性が旭日旗を振ったことが日韓で騒動になっている。

その男性が言うには、

「サッカーサポーターの理屈は“やられたらやりかえす”。

これはJリーグの試合なら当たり前のこと。

だからいつか韓国側に対して、何かしてやろうと思っていた」

「旭日旗を振ることで韓国側が動揺し、

結果、日本チームに有利な空気が作れるのではないか」

「(自分は)無学で無教養。歴史や政治に対してはあまり関心がない。」

ということだった。

一方、別のニュースから。

2010年8月6日に駐日アメリカ大使として初めて、

広島の平和記念式典に出席したジョン・ルース氏。(長崎の式典にも参加)

東日本大震災の時には、震災直後から被災地入りし、

被災者の肩を抱いて涙を流していた姿も印象的である。

そのルース氏が離任するにあたって、こんな言葉を述べていた。

(以下、日経新聞)

「長期的にみた日米間の最大のリスクは安全保障でも経済でもなく、

若い世代の結びつきが細っていることにある」

背景には互いへの留学生の数が少ないことへの懸念があったというが、

大使の言葉は裏返せば

「未来を担う世代が理解しあえていれば、これから起こる難題は解決しうる」

ということである。

それはもちろん、日米間に限った話ではない。

米国よりずっと近くにあって、もどかしさとわだかまりがある国がまず思い浮かぶ。

別の日の記事「原爆の記憶を風化させるな」では、

「広島と長崎が原爆の惨禍を被って68年目の夏を迎えた。

全国の被爆者の平均年齢は今年3月時点で78.8歳になった。

被爆地でも原爆体験のない世代が多数を占めるようになっている。

被爆国として原爆の記憶を風化させることはあってはならない。」

としながらも、

「日本が被害者としての立場を強調しすぎないことだ。

これは被爆体験を語り継ぐことと矛盾しない。

加害者と被害者が恩讐(おんしゅう)を超えて手を携えることで、

世界に核時代の終わりを印象付けることができる。」

という言葉で締めくくっていた。