健気(けなげ)

高校受験で公立のトップ校を目指す場合、
どうしたって学校の内申点が必要になる。しかも、オール5であって欲しい。
塾で上位クラスにいるような子なら、
主要5教科のテストについては、おそらく問題ない。
よっぽど難しい問題を作る先生にあたりさえしなければ、
満点や、1問間違い、悪くても90点以上を取れると思う。
あとは、授業態度や提出物をきちんとするだけだが、
これも公立のトップ校を目指している子なら、自分を律してうまくやるだろう。

問題は、技能4科目である。
オール5を取る子の中に、たまに運動のセンスも芸術のセンスも良い子がいるが、
誰もかれもが、そんなオールマイティにやれるわけではない。
中には、強烈に運動を苦手とする子や、歌が苦手な子、絵が苦手な子もいる。

例えば、運動が苦手な子でいうと、球技全般苦手で、足も速くないし、
鉄棒やマット運動も嫌いという子は、男の子に結構いる。(水泳だけはできたりする。)
取り組む姿勢や意欲、ペーパーテストについては、努力でカバーできるが、
実技だけは、おそらくどうにもならない。
球技をチーム戦でやろうものなら、〇〇はボールに触るな!
などと言われてしまうかもしれない。
なまじ、勉強ができる分、余計にからかわれることさえあるかもしれない。
そんな子が、オール5を取りたい!せめて体育で4は取らないといけない!
と、一生懸命取り組む姿を健気と言わずして何と言うだろう!

その一生懸命な姿を、学校の先生が必ず見てくれていて、
内申点を高くつけてくれるという保証はないが、
僕は、その姿勢をただ単純にすごいと思う。普通なら、
「どうせ僕には体育は無理だし!」「あの先生じゃ頑張ったところで…」
と、体育での内申点5を諦める人の方が多いのではないかと思う。

運動が得意で、体育の授業になると張り切っちゃう人については、
それはそれで輝ける場があっていいことだと思う。
運動神経がいいと、それだけでモテたりする(笑)。
でも、運動が得意だから頑張るってのと、運動が得意じゃないのに頑張るってのとは、
実は後者の方がすごいんじゃないの?なんてことを考えた時…
得意じゃない教科、好きじゃない教科、なかなか成績の上がらない教科を頑張る
ってのは、すごいことなんだと思う。