ポジティブな動機ではないかな

今日は、必ずしもポジティブとは言えない理由で、中学受験を勧めてみる。
(話の展開上、経済的な理由については触れません。)

一番よく聞くのは、地元の公立中学が荒れているという噂。
こういう理由で中学受験をする子は、どこの地域にも必ずいる。
わざわざ荒れた中学に進学したくはないだろうから、
ポジティブな理由ではないかもしれないけれど、仕方ないと思う。

次によくあるのは、内申点を取るのが苦手そうなタイプ。
ここ神奈川県では、高校入試で内申点が結構大きな意味を持つ。
合否を判断する際の、内申点と入試当日のテストで取った点数と、面接点との比率は
学校によって異なるけれど、この内申点を加味した選考方法が
現状の神奈川県における公立高校入試の90%を占める。

もちろん、内申点が低くても、テストの点数で逆転する可能性はあるけれど、
試験当日、机に向かった時点ですでに、内申点の高い人のスタートラインより
何点分か後ろからスタートするというのは、なかなかしんどい。

〇〇高校に行くために、この内申点を何点持っていればいいかの目安は、
ネットでちょっと調べればすぐわかる。
県立トップ校は、オール4(9教科。5段階評価。)では届かない。
4が2つか3つで、残りは5でないと…といったところである。
つまり主要5科目はもちろんのこと、技能4科目(音楽・体育・美術・技術)にさえ
3はほぼ許されないレベルである。

トップ校は最初から考えていないという人もいると思う。
しかし、調べてもらえばわかる。オール3でいける学校さえ、ほとんど無い。
もし成績表に2がつくと、公立に進学できる可能性がだいぶ低くなる。

そうすると、私立に目を向けるしかなくなるが、
高校受験では、中学受験の時より偏差値が10近く上がる学校が多い。
(中学受験時に偏差値40だった学校が、高校受験時には偏差値50になるということ)
これもなかなかしんどい。

内申点の問題だけでない。高校受験も指導していた頃の経験で話すことになるが、
同じ公立でも、授業内容や進度には差がある。
学校によっても先生によっても、授業が異なるのは当然なので、
例えば、同じ時期の定期テストで、
A中学の社会の範囲は平安〜室町、B中学は鎌倉〜江戸初期なんてこともある。
進度がただ速ければいいとは思わないが、
受験までに中学のカリキュラムが終わるかどうか怪しい授業というのは不安であるし、
カリキュラムが終わらせられないからと、
DVDを一本見て、感想を書かせて終わりにするような授業は、正直どうかと思う。

また、入試で合格するには、内申点以外に当日の点数が必要なわけだが、
ここで何点取る力がその子にあるのか、学校の先生はわかっていない(ことが多い)。
中学の先生は、とにかく高校浪人を出したくはないので、
結果的に安全志向となり、願書を出す学校のランクを下げさせようとする。
オール5なら、さすがに県立トップ校にもゴーサインを出すだろうけれど、
4が2つ3つあったら、二番手校に下げることを勧められる。

内申点が高い子にさえこうなのだから、内申点が芳しくない子には、なおさらである。
もちろん、良い先生、熱い先生もどこかにはいると思うけれど、
実際に、そういう良い先生にお目にかかれたことは無い。
成績表に1が1つでもついている子に対する学校の先生の態度は、
「何をいまさら…」「自己責任」というものでしかなかった。

つまり、せめてオール3以上取れそうなら、公立中学に進むのはアリかもしれない。
しかし、(体育や音楽なども含め)強烈に苦手な教科があるとか、
提出物を出さない、期限を守らない、字が雑すぎる…など、
定期テストの点数が悪かった時点で、
1や2がつくことがありえるなら、公立に進学するのはお勧めしにくい。

今日は、現時点で勉強に対して前向きでないからと、結論を先延ばしにして
高校受験にスライドしても、余計に苦しくなりそうな子に
大いにお節介ではあるが、中学受験を勧めてみた。