餃子

地元にある小さな中華料理屋さん。

どうやら僕が生まれる前からやっているお店で、

おばちゃん(おばぁちゃん?) が1人できりもりしている。

ここにお店を構える前は、超有名店に勤めていたおばちゃんの料理は、

パンチが効いていて、とにかく美味しい。そして量が半端なく多い(笑)。

風邪をひいたかな?という時は、ここでスタミナスープ(長ネギ抜き)を頼むに限る。

まぁ、ニンニクのパンチがあり過ぎて、仕事前には食べられないのだが…(笑)。

ここの料理は何でも美味しいが、中でも餃子が抜群に美味い!

餃子は毎日食べても飽きない大好きな料理の1つなので、

いろんなところで食べてきたが、その中でも1、2を争う美味さだと思う。

今、餃子はどこで食べてもそれなりに美味しい。

だけど、ここのおばちゃんは、

「そりゃ化学調味料を使えば美味しくできるよ。

だけど、子どもにそんなの食べさせるわけにはいかないでしょ!」

と、化学調味料などの添加物を一切使わずに、全ての料理を作っている。

二十年くらい前に、斜むかいに中華系のファミレスができたから、

経営は難しいと思う。

でも、工場で大量生産されているような安い餃子を仕入れてきて…

なんてことはしない。

「お客さん来なくて大変だよ〜!」なんて言いながらも、

老夫婦が2人で来て野菜炒め定食を2つ注文しようものなら、

「ウチのは量が多いから、1つを2人で分けて食べた方がいいよ!」と言う。

量を減らして2つ売った方が儲かるのに…と笑っていると、

こっちでは、ただでさえ量が半端ないのに、

「サービス」などと言って一品増やしてくれたりする。

おばちゃんが動けなくなったら、

このお店はきっとおしまいになってしまうのだろうけれど、

このお店がなくなってしまうのは寂しい。

「子どもにそんなの食べさせるわけにはいかないでしょ!」

と、利益よりも子どものことを想うおばちゃん。

おばちゃんには、ずっとずっと元気でいて欲しいし、

本当は、そういう想いを受け継ぐ人がいて欲しい。

料理屋さんに限らず、それぞれの仕事、それぞれの世界で、

何よりも子どものことを想えないものか。

優先されるべきは、それだと思う。