古田敦也さん

先日の「GetSports」という番組で、

元ヤクルト監督の古田敦也さんと、現中日の山本昌さんの対談が特集されていた。

2人は同級生で今年50歳になるが、

2007年に引退した古田さんも、今なお現役を続けている山本さんも、

共に名球会入りを果たしている素晴らしい野球選手である。

現役を引退してから解説者という仕事に就く人がいる。

最近はテレビで野球の放送があまりおこなわれなくなったので、

この頃はあまり野球を見られていないが、

野球をたまたま見た時に、解説者が古田さんだと(個人的に)とても嬉しくなる。

というのは、その解説が論理的で、

しかも素人にもわかりやすい説明をしてくれるからだ。

古田さんは、入団した当時の監督であった野村さんに

「肩は一流だが、打撃は二流、(キャッチャーとしての)リードは三流」

と言われるくらいのレベルであったそうだが、

キャッチャーとしての技術をマンツーマンで教わって

「打者は投手ではなく、古田と勝負している」と言われるほどになり、

打撃も入団2年目にして首位打者をとった。

これは想像の域だが、おそらく野村監督との出会いが大きかったのだろうと思う。

野村さんの言葉に

「寝ても覚めても野球のことばかり考えていなければならない

「基礎づくり」の時期がある」

というのがあるが、

プロ野球選手になってから、寝ても覚めても野球のことを考えて、

キャッチャーとしてピッチャーに要求する1球1球に、

バッターとしてピッチャーと対峙する1球1球に、

理由を求めたのではないか。

だから、いざ解説者や指導者になった時に、

それらをきちんと言葉で人に伝えられるのではないだろうか。

感覚だけでやってこられる(言い方によっては)天才肌タイプもいるだろうが、

感覚だけでやってきた人よりも、そういう苦労や試行錯誤を経て、

言葉で伝えられる人の方が、解説者や指導者に向いているのではないかと思う。

と前置きが長くなったが、冒頭で紹介した「GetSports」の中で、

山本昌さんが興味深い話をされていた。

それは「古田さんは、基本をかみ砕いて話せるからすごい」という話であった。

山本昌さんは

「基本について話すと、『(そんなことは)知ってる』と聞かない人が多いけど、

本当はわかってないんだよ。わかったつもりになっているだけ。」と言う。

この言葉は深いなぁと思う。

野球の基本がどんなものかは僕にはわからないけれど、

基本が大切なのは何についても同じである。

その基本を疎かにして、テクニックや応用ばかりに意識がいくとか、

「その程度のことは知ってる」とわかった気になってしまうとか、

そういう人にならないようにしないといけないなと、つくづく思った。