残心(ざんしん)

僕が通っていた中学・高校の体育の授業では、

剣道か柔道を選択して6年間続けることが義務付けられていた。

僕は剣道を選択し一応6年間続けたので、見かけによらず段位を持っている。

さて、この剣道で「一本!」と言われる有効打突には

「充実した気勢、適正な姿勢をもって、

竹刀の打突部で打突部位を刃筋正しく打突し、残心あるものとする。」

という規定がある。

この中にある残心とは、

打突した後も、油断することなく、相手の反撃に対応できる身構え、心構えをいう。

と、言葉だけの説明では、剣道をやったことも見たこともない人には

何のことだかさっぱりだと思われるが、

「やぁ!面!」と打ち終わった後に、

再び間合いをとって、中段の構えになって相手に向かうと言えば、

もう少しは想像つくだろうか。

この残心をしないと一本にならないというのが面白いと僕は思う。

面をどんなに見事に打ったとしても、

その後の姿勢がちゃんとしていないと一本にならない。

そこまで審判が見ているのである。

このことは、他のことにも通じるのではないか。

帰る時なら忘れ物はないか。

ゴミを落としていないか。

使った机の上が汚くなっていないか。

使った椅子はしまってあるか。

当然勉強にも通じる。

答えが出た!と安心して先に進む前に、ミスはないか。何か読み落としはないか。

消しゴムで消して答えを書き直した時に、

関係ない隣の答えまで消してしまっていないか。

とチェックする。

この残心は、大切な心の持ち方の1つだと思う。