ラーメンを食べながら

仕事が終わってから、「どっかでご飯でも食べようか!」となった時、

開いているお店はもうファミレスか牛丼屋かラーメン屋くらいしかない。

そんなある日、お気に入りのラーメン屋に入った時のこと。

僕らがラーメンを食べている間、1人の店員さんが店長に指導を受けていた。

その店員さんは、1、2か月前に訪れた時にもいた。

その時、僕の注文「ラーメン、ネギ抜き!」を

ネギ入りで運んできたのでおぼえていたのだ。

ラーメン屋に入ると、複数のお客さんのメニューを全部暗記している

凄腕の店員さんを見ることが多い。

油少なめとか麺固めとか、ネギ抜きとかホウレンソウトッピングとかを、

メモも取らずに本当に短い時間でおぼえるのを感心してみている。

ところが、このお店のこの店員さんは、それが今もできないらしい。

聞いたそばから間違って厨房に伝達するので、

店長さんに指導を受けていたというわけである。

しかし残念ながら、この店員さんはその指導を

(傍から見ていても)ちゃんと聞いていなかった。

聞いている素振りは見せるけれども、反省しようとか改善しようという姿勢がなく、

あろうことか店長に「お客様が1人ならおぼえられます。」と反論まで始めていた(苦笑)。

店長の作るラーメンはおいしい。

そしてこの店長は、本当にいい人だと思う。

その人に懇切丁寧に

「一人前になって欲しいし、僕は教えてあげることしかできないけど、

そういう態度で聞かれると教える気が起きなくなっちゃうよ。

優しい口調で言ってるけど、言ってることは全部本気だから。

それを冗談のように取られたら、できるようにならない。」

数か月働いても仕事の技術が上がらない。

指導してもそれを自分事として捉えられない。

言ってくれるありがたみがわからない。

この人には、きっと今までも何度も同じ指導をしてきたのだろう。

言っても聞かない。言っても無駄だ。

と諦めることなく、無視するでもなく、クビにするでもなく。

伝わるまで何度でも言って聞かせ、自分と縁があったからには

なんとか一人前にしてやろうと思って接しているのであろう。

言っても聞かない人は大人にも増えた。きっとどこにでもいる。

だけど、これ以上増やさぬようにできないものか。