反省

大学生の頃に塾の先生という仕事を始め、

紆余曲折あった中で現在に至るわけだが、

途中20代半ばで営業をやった。

いつ言われたのかおぼえてはいないが、

「人生の中で一度は営業という仕事を経験しておいた方がいい。」

と言われたのがずっと耳に残っていたのと、

若くして『先生』と呼ばれることに慣れてしまうことへの漠然とした恐怖から、

営業をやってみようと思ったのである。

また、これもいつ言われたかおぼえていないが、

「1つの仕事を3年は続けなさい。そうしないと何も得られないよ。」

という言葉も耳に残っていて、自分にとってはきつい仕事だったが、

なんとか3年は…!と最後の1年は苦しみながらやっていた。

そんな3年目のある日のことである。

その頃、自分はこの仕事に悩んでいた。

自分が本当の意味で良いと思えないものを

売っていいのだろうかという葛藤があった。

営業経験者の人からしたら青い悩みだろうが、

当時の自分には大きな悩みであった。

悩んで体調もすぐれなくなって、頭痛いなぁとダルそうにしていた時のこと。

突然上司に呼び出された。

「どうした?悩みでもあるのか?体調悪いのか?」

なんて優しい言葉は全くかからず(笑)、

「何かに悩んでいるのか、体調が悪いのか知らないけどな。

察してください!わかってください!って態度でいるのは、

傲慢で生意気な態度だよ。」

「悩みがあるにしても体調が悪いにしても、自分から言いに来ればいい。

帰っていいか聞けばいい。帰っていいなら許可するし、ダメなら許可しない。

ただそれだけ。それを気づけよ!っていう態度でいるのは間違ってるぞ。」

こんなことを言われた。

そんなつもりでいたわけではないが、

そんなつもりでいなかったわけでもなかったような気がした。

体調が悪い、ヤル気が出ない、うまくいかない…って時に、

素直にそうは言わずに、その不満を態度に表す。

何か嫌なことがあった日なのか、自分の能力を超えそうなくらいに忙しいのか、

イライラした空気を全開で出している。

察してくれ。わかってくれ。今風に言えば、空気読め!ってことなのだろうけれど、

それって、本当に自分勝手なんだなと思った瞬間だった。

自分が悩んでいることも、体調がすぐれないことも、

同じ会社で働いていたって他の人には関係ない。

もちろん体調が悪そうな人がいたら、「大丈夫?」って

心配する人たちばかりの職場ではあったけれど、

だからと言って、自分のことを心配してよ!もっと気をつかってよ!

などと思ってしまうとしたら、それは本当に傲慢でしかない。

知らず知らず「わかって欲しい」って態度を自分がしていないかと、

今でもたまにあの日のことを思い出す。