時間対効果を上げよう!(長文です)

「今回のクイズで1番だった○○さんには、賞金1000万円がもらえるかもしれない
ファイナルチャンスが与えられます。
A、B、C の箱の中から好きな箱を1つ選んでください。
3つのうち1つは当たりですが、残り2つはティッシュです。

さぁ○○さん、A、B、C のうち、どれにしますか?」
「Aでお願いします!」
「Aですか?それでは○○さんが選ばなかった2つのうち、
まずCを開けてみましょう。おぉっとティッシュだ!
ということは、Aには1000万円が入っている可能性がまだあります!

さぁAさん、今ならまだBに変えてもいいですよ!どうしますか?」
「えぇ〜。でも、初志貫徹でいきます。Aでお願いします!」
「ファイナルアンサー?」

「ファイナルアンサー!」

これはモンティホール問題という有名な問題です。

出題者がヒネクレ者かどうかとか、みのもん☆かどうかとか、
そういうことは考えずに確率論として考えます。

今、○○さんはCが外れだとわかった後に
もう一度答えを変えるチャンスをもらいましたが、
最初の選択を変えずにAのままにしました。
1000万円は残ったAかBに入っているのですから、
当たる確率はどちらを選んでも2分の1。
AからBに変えて外れてしまったら後悔しそう…と考えたのでしょう。
しかしこれは間違っているのだそうです。

まず、A、B、C の3つの箱が1つも開けられていない状態の時、
当たる確率はどれを選んでもそれぞれ3分の1です。
ということは逆に言うと、Aを選んだ時点で
BまたはCが当たりである確率は3分の2です。

ここでCの箱が開けられ、中身がティッシュなことがわかりました。
ということは…Bが当たる確率が3分の2なので、
AよりもBの方が当たる確率が高い!ということになるわけです。

出題者が意地悪かもしれないじゃん!とか言い始めるとキリがないですが、
考え方の面白さはわかったでしょうか。

今回話題にしたいのは、
この問題で○○さんが最初に選んだ答えを変えなかったことです。
これを現状維持バイアスといいます。
これは、現状を絶対に変えなくてはならない、という強い動機がない場合には、
「今のままでいいか」と考えてしまうバイアス(偏り)です。

今回の話では、絶対に答えを変えなければならないと感じるほど、
○○さんが強い問題意識を持っていないということです。
実際、この問題に対してインターネット上でアンケートを取ったら、
Aのままと答えた人はBに変えた人の15倍以上と、
(確率論で言うとBの方が当たりやすいのに)
現状維持を好む人が圧倒的に多かったそうです。

現状維持バイアスが起きる理由の1つで、
それと関連してよく言われるのが、授かり効果(保有効果)というものです。
これは自分がすでに持っているものを高く評価し、
それを失うことによる損失を強く意識しすぎて、手放したくないと考える傾向です。

今回の場合は、AからBに選択を変えても1000万円が絶対に当たる
とは言えないので変化を避けたのです。

このように、人間は現状に問題があるとわかっていながらも、
その状況を変えることによって問題が解決できるとは限らない不確実な時に、
思考を止めてしまうことがあるのです。

http://diamond.jp/articles/-/12850

上記のURLはDIAMOND online の「カイゼン!思考力」です。
ビジネスマン対象のサイトなので言葉が難しいところもありますが、
現状維持バイアスについてはとてもわかりやすい例が載っています。

さてさて、これをみんなの勉強に当てはめてみるとどうでしょう。
もちろん、勉強した結果はすぐに出るものではありません。
特に国語などは、頑張り始めてから結果が出るまでに
最低でも半年くらいはかかると思います。
しかし、やってもなかなか結果が出ないような勉強方法なら、
どこか変えてみた方が、あっという間にいい結果に結びつくかもしれません。
ずっとこの方法でやってきたから…と、こだわりすぎずに、
「こんな風に勉強してるんだけど、なんかうまくいかないんだよね。
どこかよくないところある?」と聞いてくれたら、
案外簡単に解決方法を教えてあげられるかもしれません。
受験生は特にそうですが、うまくいかないことを何日も続けられたら
時間の無駄です。中学受験は制限時間のある戦いですから、
「どうもうまくいかない」と思ったら、すぐに相談に来た方がいいですよ!